サラリーマンの方の中には、「節税」というワードがピンとこない方も多いのではないでしょうか?会社員の場合、勤務先の会社が納税作業を代行してくれるため、税金や節税について考えたことがないという方もいらっしゃると思います。
しかしサラリーマンも、自ら確定申告を行うとともに控除をうまく利用することで、節税効果が期待できるのです。
今回は、サラリーマンでもできる節税方法をご紹介します。今日から始められることもありますので、これを読んで、少しでも無駄な税金の支払いとおさらばしましょう!
節税とは
一般的に「節税」とはどのような行為を指すのでしょうか?
節税とは、税制上のシステムを適切に使うことによって、支払う税金の金額をなるべく少額に抑えることです。税金を余計に払いすぎないようにすることが一番の目的です。
脱税とは違って法の範囲内で行うので、後ろめたい気持ちになる必要はありません。節税の知識を正しく身につけて、利用できる場合は積極的に利用しましょう。
サラリーマンが節税する方法
サラリーマンは基本的に、勤務先の会社が税額を計算して納税を代行する「源泉徴収制度」を採用しています。また、源泉徴収は1年間の所得が確定する前に月々で納めるため、年末の時点で1年分の再計算を行い、納めすぎた所得税は還付(払い戻し)、不足する場合は徴収されるという「年末調整」もセットで行います。
そのため節税の意識がないサラリーマンは多く、節税といえば、経営者やフリーランスだけに関わることだと高を括っている方もいるでしょう。
サラリーマンが節税するうえでポイントになるのが「控除」です。控除をうまく利用すれば、源泉徴収制度によって納税が行われているサラリーマンでも、納める税金の額を抑えることができます。
以下に、サラリーマンでも活用できる控除を紹介していきます。
ふるさと納税
ふるさと納税とは、全国各地の自治体から応援したい自治体を選んで寄付できる制度です。「ふるさと納税」という名前の制度ですが、扱いは「寄付」と同じです。寄付した金額の一部が、所得税または住民税の控除対象となることに加え、寄付した自治体からお礼として返礼品が貰えることから、お得な制度として人気を集めています。
ふるさと納税では、寄付した合計金額から自己負担額の2,000円を除いた全額が控除対象となり、ふるさと納税を行った年の所得税と翌年度の住民税から控除を受けられます。
また、サラリーマンなどの給与所得者で寄付先が年間5自治体以下の人は、寄付を行った自治体に所定の申請書を提出することで、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が適用され、確定申告が不要となります。
「ワンストップ特例制度」は、確定申告を行わないサラリーマンの方を対象とした制度で、控除額は変わらないものの所得税分の還付はなく、所得税分も含めた控除額全額が、翌年度の住民税から控除されるといった制度です。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を新築や購入などした場合に、年末のローン残高の1%にあたる額が約10年間にわたって所得税(および住民税)の額から控除される制度です。最大控除額は10年間で400万円(1年で40万円)で、それぞれ細かい規定を満たせば、中古住宅や増築・リフォームも対象となります。
サラリーマンは最初の年に確定申告を行うと、翌年以降は勤務先に必要書類を提出すれば年末調整で手続きをすることができます。
住宅ローン控除のしくみはやや複雑なので、詳しく知りたい方は、国税庁のWebページをご確認ください。
生命保険料控除
生命保険の料金を支払っている場合には、各保険会社から届く「生命保険料控除証明書」を年末調整時に会社に提出することで、生命保険料控除を受けることができます。
生命保険料控除制度には、大きく分けて「一般生命保険料控除」「介護保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類があり、控除額は、契約の時期によって新契約と旧契約と分けて計算します。
地震保険料控除
地震保険料控除は、地震保険料を支払った場合に、一定額まで所得控除を受けることができる制度です。所得税は最高50,000円、住民税が最高25,000円、課税所得金額(税額を決める際のベースになる所得額)から控除されます。
地震保険料控除証明書は、保険証券に添付されている場合と、保険会社から郵送で別途送られる場合があります。どちらの場合も、年末調整時に証明書を会社に提出することで控除を受けられます。
医療費控除
自分や家族の医療費を10万円以上支払った場合に一定額まで控除されるのが、医療費控除制度です。
サラリーマンの場合でも、雑損控除・医療費控除・寄付金控除の3つについては会社で年末調整が行われませんので、控除を受けたい場合には忘れずに確定申告を行ってください。
人間ドッグや健康診断などは医療費控除の対象にはなりませんが、ケガや病気のための通院費(病院に行くまでの交通費も含む)は対象となります。控除が認められる範囲は広いので、可能性がある場合は必ず確認しておきましょう。
セルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制とは、要件を満たした人が医薬品を購入した場合、購入費の12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)を控除の対象にする制度です。
対象となる医薬品は限られている点には注意が必要です。対象となる医薬品は、パッケージに「セルフメディケーション税控除対象」の表示があるので、必ず確認してください。
セルフメディケーション税制を利用するには、要件を満たしていることに加え、対象となる医薬品のレシートや領収書を1年分集めて「セルフメディケーション税制の明細書」に必要事項を記入したあと、確定申告が必要です。
なお、セルフメディケーション税制を利用した場合には、従来の「医療費控除」が利用できませんので注意してください。
寡婦控除・寡夫控除
配偶者(妻もしくは夫)と離婚もしくは死別した場合であれば、寡婦控除(寡夫控除)によって節税することができます。
寡婦控除とは、シングルマザーやシングルファザーへの税金を安くするという制度です。寡婦とは、夫と死別や離婚のあと再婚しておらず、親などの扶養親族や生計を一緒にする子どもがいる人です。離別か死別か、また性別や年収によって控除額が変わります。
寡婦控除・寡夫控除の条件を満たしている人は、年末調整の際に会社から配布される「扶養控除等(異動)申告書」にある「寡婦」「特別の寡婦」「寡夫」の箇所に印をつけることで控除が受けられます。
正しい節税の知識で無駄な税金を払わない
会社が納税を代行しているサラリーマンの方でも、正しい節税の知識を持ち、用意された控除制度を積極的に活用することで、無駄な税金の支払いを避けることができます。
運用する資金やいざというときのための資金として、これまでより多くの金額を手元に残しておくことが可能です。活用できる制度がないか日頃から意識しておきましょう。