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文字通り、外出する際にヘルパーを利用できる外出介護。介護保険が適用されるケースもありますが、なかには対象外となる事例も存在します。

本記事では、外出介護の基本情報をはじめ、訪問介護における保険がどこまで適用されるのかをわかりやすく解説しています。

「通院介助は保険適用?」
「銀行までついてきてもらうことはできる?」

上記のような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

外出介助とは

外出介助とは、1人では病院などに通えない利用者に対して、通院時の介助などを行うサービスです。訪問介護における保険適用が認められており、負担を抑えながら利用することができます。

ただ、訪問介護は名前のとおり、本来は自宅で行われるサービスです。通院・外出介助は例外的といえるので、特定の条件をクリアしなければ、介護保険の対象とならないのでご注意ください。

訪問介護における外出介助の範囲

訪問介護において、保険が適用される外出介助の範囲は決まっています。基本的には、日常生活上の必要性が認められることが条件です。

ここでは、以下の3パターンについて解説します。

・通院の場合
・散歩の場合
・銀行の場合

それぞれ詳細をチェックしていきましょう。

通院の場合

通院による外出介助、いわゆる通院介助は介護保険の対象です。介護保険制度のなかでは、一般的にヘルパーが行うサービスとして位置づけられています。

しかし、すべての方が通院介助の保険適用を受けられるわけではありません。

たとえば要支援者の場合、介護保険の予防給付ではなく、市町村事業の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)によって訪問介護が実施されます。総合事業は自立支援を目的としているので、「できることは自分でしてもらう」という前提があり、通院介助をヘルパーが行うことは難しいでしょう。また、適用の可否が市町村によって異なる点も注意が必要です。

一方、要介護者の場合、区分支給限度基準額の範囲内であれば、通院介助をヘルパーに頼むことができます。ただ、通院介助や外出介助には、さまざまな制約があるのも事実です。

・声かけ・説明→目的地(病院等)に行くための準備→バス等の交通機関への乗降→気分の確認→受診等の手続き
・(場合により)院内の移動等の介助

(引用:厚生労働省老健局振興課長「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について)

たとえば、病院の帰り道に寄り道したケースなどは、介護保険の対象から外れます。病院内の移動における介助も医療保険の範疇とみなされるので、対象外です。しかし、病院のスタッフが対応できない場合、ヘルパーの利用を介護保険として算定できます。

散歩の場合

散歩の場合、外出介助は介護保険の対象外です。認知症で徘徊される方の付き添いに関しては、一定の条件下で算定が認められます。

その他、散髪や外食、カラオケや友人宅への訪問、冠婚葬祭への出席、地域行事への参加に関しても、外出介助は介護保険の適用範囲外です。

【外出介助の保険適用範囲外(港区の場合)】
・日用品以外の買い物
・理容院や美容院での散髪
・外食
・カラオケ
・冠婚葬祭
・地域行事 など

ただ、補聴器や老眼鏡の購入などは、市町村によって認められるケースがあります。

銀行の場合

銀行の場合、外出介助は介護保険の対象です。役所への届け出、家族への見舞い、通所介護事業所や介護保険施設の見学に関しても、適用範囲内です。

【外出介助の保険適用範囲外(港区の場合)】
・役所への届け出
・選挙
・家族への見舞い(頻繁でない場合)
・通所介護事業所や介護保険施設の見学 など

自費の外出介助にかかる料金について

通院介助や外出介助など、ルールが細かく定められている訪問介護では、保険が適用されない場合でもヘルパーを利用するため、自費でのサービスを用意している事業所が存在します。

たとえば、自宅の大掃除や庭の草むしりなど、通常の介護保険では適用対象外となるケースでも、自費でサービス料金を支払えば対応してくれるのです。もちろん、コンサートやスポーツ観戦など、長時間にわたる付き添いも実現できます。

・自宅の大掃除
・庭の草むしり
・コンサートやスポーツ観戦
・温泉旅行
・テーマパーク など

具体的な価格設定は事業所ごとに異なりますが、1時間で約3,000円~を想定しておくといいでしょう。

ただ、自費での介護サービスは保険が適用されないので、何回も利用すると負担が大きくなります。介護度に左右されない点は魅力的ですが、活用する際は計画を立てておくべきでしょう。

通院時の外出介助に関するQ&A

ここでは、通院時の外出介助に関するQ&Aを解説します。具体的には以下のとおりです。

・通院介助の移動中の保険適用
・院内介助の保険適用
・入退院時の保険適用
・ヘルパーの交通費
・介護タクシーの保険適用

それぞれ詳細をチェックしていきましょう。

通院介助の移動中の保険適用

病院に行く際、ヘルパーが車いすを押したり、利用者の転倒を防ぐために見守ったりするのであれば、その時間を介護保険として算定できます。

しかし、家を出てすぐにタクシーに乗るのであれば、その移動時間を介護保険に算定できないのでご注意ください。

また、電車などの公共交通機関を利用している場合、利用者が座っているなど、ヘルパーによる介助が必要ない状態は介護保険の適用範囲外となります。

院内介助の保険適用

院内介助に関しては、内容次第で介護保険の適用となります。具体的には、トイレの移動などです。

しかし、病院内での介助は、一般的に医療保険の範疇であり、病院側が対応すべきとみなされています。すべての病院でヘルパーによる院内介助が可能というわけではなく、院内スタッフがカバーできない場合のみ、ヘルパーによる介助が介護保険の適用範囲内となる仕組みです。

入退院時の保険適用

入退院時の介助に関しては、原則家族の方が対応することになります。訪問介護の対象外なのでご注意ください。

また、入院中の介護保険サービスに関しては、全額自己負担です。ベッドや車いすをレンタルする場合、必ず担当のケアマネージャーに連絡し、詳細を確認しておきましょう。

ヘルパーの交通費

ヘルパーの交通費に関しては、利用者が負担します。介護保険制度で定められたルールではないので、対応方法に関しては、訪問介護の事業所に委ねられています。基本的には、サービス利用開始前に書面などで説明があるでしょう。

介護タクシーの保険適用

介護タクシーという名前ですが、介護保険の適用範囲外です。勘違いしているヘルパーの方も多いのでご注意ください。

なかには訪問介護員の資格を有し、通院介助を行っている介護タクシーも存在します。しかし、そのような事業所は少なく、一般的ではありません。

また、介護タクシーは、介助用の専門機器を搭載している分、通常のタクシーより割り増しされている乗車料金も珍しくないです。

外出介助のまとめ

本記事では、外出介助について解説しました。押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

・外出介助は介護保険を利用できる
・日常生活での必要性が薄い場合は対象外
・通院介助の保険適用は状況次第

一口に外出介助といっても、状況によって介護保険が適用されるか否かが異なります。ヘルパーが誤解しているケースもあるので、わからないことがあればケアマネージャーに相談するか、市町村の担当窓口に聞いておくことをおすすめします。

※ 介護保険の適用範囲は市町村によって異なります