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被介助者に対する入浴のお手伝いを「入浴介助」といいます。

被介助者にとっての入浴は危険と隣り合わせの行為でもあります。安心して入浴してもらうためにも、介助者が正しい知識を身につけておくことには大きな意味があるでしょう。

当記事では、入浴介助の流れや介護現場における入浴方法の種類を解説します。

入浴介助とは

入浴介助とは、自力での入浴が難しい方に対して他者がサポートする行為です。被介助者にとって快適な入浴を実現するためには、介助者が正しい方法で寄り添ってあげることが重要です。入浴は体を清潔にするだけでなく、リラックスにもつながりうるのです。

入浴介助の流れ

入浴介助においては、被介助者に対する細やかな気配りが大切です。転倒やヒートショックには十分に注意し、プライバシーへの配慮も忘れないようにしましょう。

一般的な入浴介助の手順は以下のとおりです。

入浴前

1. 被介助者の体調をチェックする
2. 浴室や脱衣所を温めておく
3. 湯船にお湯を溜める

入浴中

4. 床や椅子を温める
5. 周囲に注意しながら椅子に座ってもらう
6. お湯の温度を確認する
7. 適温に調整したお湯を足元からかけていく(シャワーは介助者の手を介して当てる)
8. 髪を洗う
9. 顔を洗う
10. 上半身を洗う
11. 下半身を洗う
12. 体を支えながら浴槽に浸かってもらう(のぼせないよう入浴時間は短めに設定する)
13. 足元に気をつけつつ浴槽から出る

入浴後

14. 全身をタオルでしっかりと拭く
15. 無理のない体勢で着替えをする
16. 水分補給をしてもらう
17. 体調をチェックする

入浴の種類

介護現場における入浴方法には、主に5つの種類があります。被介助者の状況に応じて最適な入浴方法を選択してください。

一般浴(全身浴)

自力で歩行できる方が共同浴場で入浴する方法です。手すりを使えば自力で入浴できるという方もここに含まれます。介護現場においては比較的症状が軽い方々の入浴方法であるため、なるべく自力での入浴を促し、介助は必要最低限に抑えます。

<一般浴で活用できる介助グッズ>
一般浴では、被介助者が自力で入浴することをサポートする介助グッズを用いるのがよいでしょう。被介助者はもちろん、介助者の負担も減らすことができますよ。

・浴槽用椅子
浴槽内で使うことができる椅子です。これを設置することで、被介助者は浴槽の深くまで座り込む必要がありません。立ったり座ったりといった動作を大幅に楽にしてくれるでしょう。

・入浴台(バスボード)
浴槽のフチに設置できる台です。腰掛けられる場所をつくってくれるので、浴槽をまたいで入浴する動作がかなり楽になります。転倒防止にも一役買ってくれるはずです。

・浴槽用手すり
浴槽付近に設置する手すりです。浴槽をまたぐ際に掴むことで、被介助者の体を安定させることができます。転倒の不安を減らしてくれるでしょう。

シャワー浴

シャワー浴は、洗い場に座ってシャワーのみで入浴を済ませる方法です。希望により浴槽に入りたくない方や、怪我や病気によって浴槽に入ることが難しい方に適した入浴方法といえます。

湯船に浸からないぶん、お湯を十分にかけて体を温めるようにしましょう。濡れた床での転倒にも注意が必要です。

<シャワー浴で活用できる介助グッズ>
シャワー浴では、洗い場において被介助者の体を支えてくれる介助グッズが役立ちます。

・入浴用椅子(シャワーチェア・シャワーベンチ)
洗い場で使うことができる椅子です。自力で安定して座っていられる方に適しています。背もたれや肘掛け、座面の滑り止めがついているものであれば、より被介助者の姿勢を安定させられるでしょう。折りたたみのものもあります。

・入浴用車椅子(シャワーキャリー)
入浴用の車椅子です。背もたれや肘掛けはもとより、付属のベルトでずり落ちを防止できるものもあり、通常の椅子では姿勢を保てないという方に適しています。被介助者を浴室まで移動させる際にも便利です。

リフト浴(機械浴)

リフト浴は、専用のリフトに座ったまま入浴する方法です。足腰が悪く歩行が難しい方でも、体勢を維持して座ることが可能であればこの方法で浴槽に入ることができます。リフトには座部が上下に昇降するものと、横にスライドするものが使われます。

ストレッチャー浴(機械浴)

ストレッチャー浴とは、被介助者の体をストレッチャーに固定することで、寝かせたまま入浴することができる方法です。ストレッチャーが昇降することでお湯に浸かることができ、全介助が必要な方でも介助者の負担を減らしつつ入浴が可能です。

基本的に被介助者は身動きが取れないため、浴室まで移動する際に恥ずかしくないように、お湯が目や耳に入らないように、お湯の温度や機械の動作で驚かないようにといった細かい配慮が大切です。

チェアー浴(機械浴)

チェアー浴は、被介助者を乗せたキャスター付きの専用椅子をスライドさせて入浴する方法です。側面の壁が開くタイプの特殊な浴槽を用いるので、椅子を上下させることなくお湯に浸かることができます。浴槽が視界から消えることがないので、被介助者にとって安心感のある入浴方法といえるでしょう。

(まとめ)正しい知識と気配りで被介助者に安心感のある入浴介助を

入浴は生活の一部です。しかし被介助者のなかには、自力では快適な入浴を実現できない方も少なくありません。

入浴介助は、そういった「誰かの手助けが必要な方々」の入浴時間をよりよいものにするために必要不可欠なサポートです。心からの配慮と正しい知識にもとづいた安心感のある入浴は、精神的にも被介助者の支えになってくれるはずです。