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人々の安全な暮らしを守るうえで欠かせない河川工事。重要な土木工事の1つとして知られていますが、現場ではどのような作業が行われているのでしょうか。

本記事では河川工事の概要を踏まえたうえで、代表的な工事の種類をその役割や内容とともに詳しく解説していきます。

河川工事とは?

河川工事とは、台風や集中豪雨などによる河川の氾濫を防ぐために行われる工事です。たとえば、洪水を防ぐために堤防を築いたり、河川の流水を制御するために水門を設置したり。その内容はさまざまですが、一般的に河川環境の整備と保全を目的とする工事全般を「河川工事」と呼びます。

大きく分けて5つ!河川工事の主な種類

河川工事は大きく分けて5種類あり、それぞれ役割や工法が異なります。

・砂防工事
・河道掘削工事
・築堤工事
・床止め工事(床固め工事)
・樋門工事

それぞれの工事内容を詳しく見ていきましょう。

砂防工事

砂防工事は、土石流や河川の氾濫による土砂災害の防止および山林の保護を目的とした工事です。

たとえば、河川の山腹や渓流に土砂をせき止めるための設備「砂防堰堤(砂防ダム)」を設置して上流から流れてくる土砂が下流に流れ込むのを防いだり、荒廃した斜面に草木を植えたり柵や壁を設置したりして新たな土砂の発生・流出を抑制したり。主に上流部で工事を行い、土砂や倒木などが河川に流れ込むのを防ぎます。

河道掘削工事

河道掘削工事は、洪水時の水位を低く保つために行われる工事です。

川底に堆積した土砂を取り除く「浚渫」と呼ばれる作業を行い、根本から水位を下げることで、増水時の河川の氾濫を防ぎます。なお、浚渫作業によって排出された土砂は、天日乾燥させてから、ほかの事業で有効活用されるケースが多いです。

築堤工事

築堤工事は、水位上昇時に川の水があふれ出ないよう河川の両岸に堤防を築く工事です。

中流部から下流部で行われることが多く、盛土などで堤防を新設することもあれば、既存の堤防にコンクリートや鉄板などを加えて堤防の高さを上げることもあります。

床止め工事(床固め工事)

床止め工事(床固め工事)は、上流から下流に向かっての川底の勾配を安定させるための工事です。

ちなみに、床止め(床固め)とは、川底の形状を維持するために河川を横断して設置される構造物のこと。土質が脆い川底は流水によって形状が変化しやすく、河川の形状が変わってしまうと氾濫の危険性が高まるため、洗堀(流水や波浪などにより川岸・川底・海岸・海底の土砂が洗い流されること)を防ぐためにコンクリートブロックなどを設置します。

なお、床止め工事(床固め工事)の工法は2種類あり、床止め(床固め)に落差を設けるものを「落差工」、落差を設けないものまたは極めて落差が少ないものを「帯工」と呼びます。

樋門工事

樋門工事は、河川や水路の合流地点などにおいて、川の水が逆流しないよう水門を設ける工事です。

降雨などにより合流地点の水位が高くなると、河川が逆流し洪水が起きてしまう恐れがあるため、水位に応じて水流を制御・分断できるよう、堤防を横断する構造物(樋門)を設置します。

河川によって管理者が異なる!覚えておきたい河川の等級

国内の河川は、河川法によって以下の4種類に分類されており、等級によって管理者が異なります。

・一級河川
・二級河川
・準用河川
・普通河川

河川工事において必要不可欠な知識となるので、最後に各等級の違いを確認しておきましょう。

一級河川

一級河川は、安全面または経済面の観点から特に重要とされている水系(一級水系)に属する河川のうち、国土交通大臣が管理している区間を指します。

ちなみに、水系とは水源から河口に至るまでの本川(その水系のなかで最も大きな河川)・支川(本川に合流する河川)・派川(本川から分かれて直接海へ入る河川)とこれらに関連する湖沼をまとめて総称したものです。

洪水や高潮などが発生した際に国民へ大きな影響を及ぼすと想定される河川や飲料水・工業用水・農業用水・水力発電などに用いられ、その影響力が国家的に見て大きいとされる河川が「一級水系」に指定されており、全国で109水系ある一級水系のうち、14,066の河川が「一般河川」として管理されています(2018年時点)。
参照:国土交通省「水管理・国土保全局|川と水の質問箱」

二級河川

二級河川は、一級水系に属さない水系(二級水系)のうち、都道府県知事が管理している河川を指します。一級河川に次いで重要性の高い河川とされており、2018年時点で全国7,081の河川が二級河川に指定されています。なお、前述のとおり、一級河川と二級水系は水系が異なるため、一級河川と二級河川が同じ水系内に存在することはありません。
参照:国土交通省「水管理・国土保全局|川と水の質問箱」

準用河川

準用河川は、一級河川と二級河川を除く、市町村長が管理する河川を指します。2018年時点で全国14,327の河川が指定されており、一級河川、二級河川と同様に河川法の一部を準用して管理されています。なお、準用河川は水系にかかわらず設定されるため、一級河川や二級河川と同じ水系内に併存していてもおかしくありません。一般的に、一級河川・二級河川の上流部や一級水系・二級水系以外の水系(単独水系)の河川で指定されているケースが多いです。
参照:国土交通省「水管理・国土保全局|川と水の質問箱」

普通河川

普通河川は、一級河川・二級河川・準用河川に指定されていない河川法適用外の小河川です。準用河川と同様に水系にかかわらず設定されており、市町村長が管理しています。

水害を防ぐためには河川工事が欠かせない

大型台風や集中豪雨などによって毎年のように甚大な水害被害が発生している今、河川工事は人々の安全な暮らしを守るうえで欠かせない土木工事の1つとなっています。

河川の近くに住んでいない場合は目にする機会が少ないかもしれませんが、河川工事の改修状況については、各都道府県のホームページなどでも公表されているので、興味のある方はどこでどのような工事が行われているのか、実際に調べてみてはいかがでしょうか。

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