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処方せんの内容に目を通していますか?

診察を受けた病院で渡される処方せんですが、多くの場合、受け取ってから手元を離れるまでの時間はそう長くありません。近場で薬を受け取る場合は特に、まったく目を通さないという方も少なくないでしょう。

処方せんに記載されている情報は、提出先の薬局にとってだけでなく、薬を服用する本人にとっても大切な内容です。処方せんの読み方を身につけておくことで、記載内容の問題にも気づくことができるかもしれません。

当記事では、記載内容や読み方をはじめとした処方せんの基礎知識を紹介します。

処方せん(しょほうせん)とは「処方薬についての指示書」

処方せんとは、処方薬に関する指示を医師から薬剤師に伝えるための文書です。受け取った薬剤師は、内容の正誤を確認したうえで調剤します。診察を担当した医師だけが発行でき、薬剤師だけが内容を確認して薬を処方できます。

一般用医薬品は処方せんなしでも購入できますが、医療用医薬品(処方せん医薬品)は処方せんがなければ購入することができません。

処方せんの記載内容

処方せんには、個人や薬にかかわる情報が記載されています。記載内容は、医師法施行規則第21条(歯科医師法施行規則第20条)に定められています。

保険情報

社会保険や国民健康保険など、加入している保険の情報です。公費負担を受けている場合はその情報が記載されます。

患者情報

患者の氏名や生年月日、性別といった情報です。内容に間違いがないか確認しましょう。

医療機関情報

診察を受けた医療機関の情報です。名称や所在地、電話番号、医師の氏名といった内容で構成されています。記載が漏れている項目がないか、サインや捺印の漏れがないか確認しましょう。

処方せんの交付年月日・使用期間

処方せんが交付された年月日、使用できる期間が記載されています。使用期間の欄は基本的に空欄になっていますが、その場合でも使用期間が設けられていないわけではありません。処方せんの使用期間については後述します。

処方薬情報

医師によって処方が指示されている薬の情報です。薬の種類や処方される量、用法用量について細かく記載されているので、変更してほしい箇所があれば薬剤師に相談しましょう。あらかじめ確認しておくことで薬局での説明も理解しやすくなります。

また、薬の変更が可能かどうかについてもここに記載されます。「変更不可」と記載されていない場合、薬剤師の判断で先発医薬品をジェネリック医薬品に変更することが可能です。変更不可の記載があるものの変更を希望する場合は、薬剤師から医師へ確認が必要とされています。

処方せんの種類

処方せんの種類は大きく分けて、「院内処方せん」「院外処方せん」の2つです。内容について以下で解説します。

院内処方せん

診察を受けた医療機関でのみ有効な処方せんです。診察後、そのまま院内で薬を受け取るケースにおいて発行されます。院外の薬局に提出しても薬を処方してもらうことはできないため、扱いには注意が必要です。

院内で情報が一元管理されているので、処方せんにおいて医療機関の情報や処方せんの使用期間を省略できたり、約束処方(医局と薬局によってあらかじめ決めていた薬名や使用量の略名を記載するだけで処方できる仕組み)が利用できたりします。

院外処方せん

診察を受けた医療機関以外に提出するための処方せんです。「病院で受け取って薬局で提出する」という流れにおいて用いられる処方せんはこれに該当します。

医師の指示を正確に伝えることに重点が置かれているので、特定の様式、またはそれに準じた様式を使用するのが一般的です。記載事項は「処方せんの記載内容」で先述したとおりです。

処方せんの読み方

医師から薬剤師に向けて発行される処方せんですが、患者自身もぜひ確認しておきたい項目があります。重要な内容を見落とさないよう、処方せんの読み方を理解しておきましょう。

内容が正しいかどうか確認する

大前提として、記載されている内容が正しいかどうか確認してください。自身の個人情報や医療機関の情報はもちろん、処方薬の内容についても、診察の際に医師から伝えられた内容とズレがないかどうか確認しておきましょう。

処方せんの使用期間を確認する

保険医療機関及び保険医療養担当規則第20条の3(歯科は第21条の3)において、処方せんの使用期間は原則「(発行日・土日祝日も含めて)4日間」と定められています。そのため、発行から4日以上が過ぎてしまった場合は、医療機関で再発行してもらう必要があります。

基本的に例外は認められないので、処方せんを交付してもらったらなるべく早く対応するようにしましょう。

薬の剤形を確認する

薬を服用する方の年齢や事情によっては、飲みにくい剤形があるかもしれません。処方せんには「錠剤」「カプセル」といった記載が必ずあるので、服用が難しい剤形が指定されている場合は、ほかのものに変更できないか薬剤師に相談してみましょう。

薬を飲むタイミングを確認する

処方せんに記載されている薬の服用タイミングもあらかじめ確認してください。患者が保育園や小学校に通っていれば、お昼の時間帯に薬を服用するのが難しい場合もあるでしょう。事情を薬剤師に伝えることで、違う薬を出してもらえたり、何らかの対処法を教えてもらえたりするかもしれません。

処方せんの役割を正しく理解する

なかなかその読み方や扱い方を学ぶ機会がない処方せんには、「病院でもらって薬局で出すもの」程度の理解しかない方もいるかもしれません。しかし内実は、患者本人にとっても重要な情報が詰まった書類なのです。

役割を正しく理解して効果的に活用することで、薬ともよりよい付き合い方ができるでしょう。