カフェやベーカリーなどでよく見かけるようになったキッシュ。ふだんのランチに、ワインのおつまみに、ホームパーティーの主役にと幅広いシーンで楽しめる料理ですが、「どんな料理?」「パイやタルトと何が違うの?」と疑問を抱いている方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、そんなキッシュの基本について詳しく解説していきます。キッシュの歴史や名前の由来など、意外と知られていないキッシュの豆知識をたっぷり紹介していくので、興味のある方はぜひご覧ください。
キッシュとは?
キッシュとは、卵や生クリーム、牛乳などを合わせた液状の生地(アパレイユ)をベーコンや野菜などの具材とともにパイ生地やタルト生地に流し込み、オーブンで焼き上げた料理です。加える具材に厳密な決まりはなく、生ハムやアンチョビ、スモークサーモン、ほうれん草、きのこ、カレーなど、自由な発想でさまざまにアレンジして楽しめます。
キッシュの歴史
キッシュの起源には諸説ありますが、近年では、フランスのアルザス=ロレーヌ地方で誕生したという説が有力視されています。厳密には、959年から1766年まで存続したロレーヌ公国(現在のルクセンブルク及びドイツの一部、フランスのロレーヌ地方北東部)で生まれたといわれており、この地域がドイツ・フランス間で長く領有権が争われた末にフランス領土となっていることから、キッシュもフランス料理として認識されているのです。
ちなみに、キッシュが世界中で注目されるようになったのは、第二次世界大戦後といわれています。特にイギリスとアメリカで高い人気を博しており、当時のキッシュには肉類や魚介類があまり使われていなかったことから、菜食主義者を中心に話題を集めたそうです。
ちなみに、キッシュが世界中で注目されるようになったのは、第二次世界大戦後といわれています。特にイギリスとアメリカで高い人気を博しており、当時のキッシュには肉類や魚介類があまり使われていなかったことから、菜食主義者を中心に話題を集めたそうです。
キッシュの語源
日本でも一般的な「キッシュ(Quiche)」という呼び名はフランス語の音をそのままカタカナに置き換えたものですが、発祥の地とされるロレーヌ地方では「キーシュ」と発音されています。そして、この「キーシュ」という言葉は、ドイツ語でケーキを意味する「クーヘン(Kuchen)」に由来しているといわれており、この「クーヘン」がロレーヌ語の「キューシュ」になり、さらにフランス語の「キッシュ」に変化したというのが定説となっています。
これだけ聞くと、「なぜフランス料理なのにドイツ語が語源なの?」と疑問を抱くかもしれませんが、先述したようにロレーヌ地方はフランス・ドイツ間での領土紛争が絶えなかった地域です。そのため、ドイツ語も十分に影響している可能性が高いと考えられています。
これだけ聞くと、「なぜフランス料理なのにドイツ語が語源なの?」と疑問を抱くかもしれませんが、先述したようにロレーヌ地方はフランス・ドイツ間での領土紛争が絶えなかった地域です。そのため、ドイツ語も十分に影響している可能性が高いと考えられています。
タルトやパイとの違い
キッシュと似た料理にタルトやパイがあります。使う材料や調理方法が似通っているため混同されやすいのですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
ここで簡単にそれぞれの違いを確認しておきましょう。
ここで簡単にそれぞれの違いを確認しておきましょう。
タルトとは?
タルトとは、一般的に「パートシュクレ」と呼ばれる甘い生地を使ったお菓子を指します。ほろほろと崩れるような食感のタルト生地にフルーツやクリームなどの具材がトッピングされており、スイーツとして扱われるケースが多いです。
一方、キッシュは「パートブリゼ」と呼ばれる甘みのない食事用タルトを使用します。スイーツではなく惣菜として扱われることが多いため、キッシュとタルトは料理かお菓子かという点で大きく異なるといえるでしょう。
また、それぞれルーツも異なり、タルトの語源は古代ローマ時代の「トールタ(torta)」というお菓子に由来しているといわれています。さらにそのルーツは古代ギリシア時代にまで遡り、その当時、まだスプーンなどのカトラリーが存在せず、蜂蜜やクリームなど液体状のものが食べづらかったため、容器ごと食べられる器に入れて出そうとしたのが始まりだとされています。
一方、キッシュは「パートブリゼ」と呼ばれる甘みのない食事用タルトを使用します。スイーツではなく惣菜として扱われることが多いため、キッシュとタルトは料理かお菓子かという点で大きく異なるといえるでしょう。
また、それぞれルーツも異なり、タルトの語源は古代ローマ時代の「トールタ(torta)」というお菓子に由来しているといわれています。さらにそのルーツは古代ギリシア時代にまで遡り、その当時、まだスプーンなどのカトラリーが存在せず、蜂蜜やクリームなど液体状のものが食べづらかったため、容器ごと食べられる器に入れて出そうとしたのが始まりだとされています。
パイとは?
パイは小麦粉やバターなどで作った生地で肉や魚、煮込んだフルーツなどを包み込み、オーブンなどで焼き上げた料理またはお菓子を指します。パイ生地で全体が覆われているイメージが強いですが、アップルパイなどのように上部が覆われていない「オープンパイ」と呼ばれるものもあるため、広義ではキッシュもパイの一種と捉えられるでしょう。また、調理次第で食事にもスイーツにもなるため、キッシュよりも広い範囲を指す言葉として使われることが多いです。
なお、パイは古代エジプトの「ウテン・ト」という揚げ菓子や中近東で親しまれている「バクラバ」というお菓子が原型になっているのではないか、という説が有力視されています。現在のパイ生地を考案したのは、フランス古典主義絵画を代表する画家として知られるクロード・ロラン(クロード・ジュレ)もしくは、フランスの貴族であるコンデ侯爵家の製菓長を務めたフィユではないか、という2説があり、未だにその謎は解明されていません。
なお、パイは古代エジプトの「ウテン・ト」という揚げ菓子や中近東で親しまれている「バクラバ」というお菓子が原型になっているのではないか、という説が有力視されています。現在のパイ生地を考案したのは、フランス古典主義絵画を代表する画家として知られるクロード・ロラン(クロード・ジュレ)もしくは、フランスの貴族であるコンデ侯爵家の製菓長を務めたフィユではないか、という2説があり、未だにその謎は解明されていません。
代表的なキッシュの種類
最後に、代表的なキッシュを3種類紹介します。
1.キッシュ・ロレーヌ
2.ほうれん草のキッシュ
3.きのこのキッシュ
どれもカフェの定番メニューですが、場所によってさまざまなバリエーションがあるので、ぜひその違いも楽しんでみてください。では、それぞれの特徴を紹介していきます。
1.キッシュ・ロレーヌ
2.ほうれん草のキッシュ
3.きのこのキッシュ
どれもカフェの定番メニューですが、場所によってさまざまなバリエーションがあるので、ぜひその違いも楽しんでみてください。では、それぞれの特徴を紹介していきます。
1.キッシュ・ロレーヌ
キッシュ・ロレーヌとは、フランスのアルザス=ロレーヌ地方で古くより親しまれてきた家庭料理です。塩・コショウ・ナツメグで味付けしたアパレイユにベーコンとグリュイエールチーズを加えただけのシンプルなレシピですが、卵の甘みやベーコンの塩気が絶妙で、後をひく逸品となっています。
2.ほうれん草のキッシュ
ほうれん草のキッシュは日本で主流となっているレシピの1つです。ほうれん草の鮮やかな緑が映えるため、特別な日のお祝いやホームパーティーなどおもてなしの場でも重宝するでしょう。カフェによって加える具材もさまざまなので、そのお店のこだわりや工夫も感じられます。
3.きのこのキッシュ
しめじ、舞茸、マッシュルーム、エリンギなど、具材にきのこを使ったキッシュも人気です。緑黄色野菜を使用したキッシュに比べると、色味はやや落ち着いていますが、きのこのうま味がギュッと凝縮されているため、味は絶品。ベーコンや玉ねぎ、サーモンなど、相性の良い具材も多く、多彩なアレンジが楽しめるのも魅力の1つといえるでしょう。
華やかな焼きたてキッシュで至福のランチタイムを
フランスの家庭料理として誕生したキッシュは、今や世界中で愛される料理となっています。
国内でも提供するお店が増えてきており、本場で親しまれる定番レシピから豆腐や味噌を使った日本独自のレシピまで、カフェによって多種多様なメニューを楽しめるようになってきました。同じメニューといえども店舗ごとにこだわりが異なるので、気になる方はぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
国内でも提供するお店が増えてきており、本場で親しまれる定番レシピから豆腐や味噌を使った日本独自のレシピまで、カフェによって多種多様なメニューを楽しめるようになってきました。同じメニューといえども店舗ごとにこだわりが異なるので、気になる方はぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。